平成13年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (1)最近の企業結合に関する理論ならびに実証研究の発展について整理をおこなった。 (2)実際の企業結合に関する公正取引委員会の審査の手続き、問題点について整理をおこなった。各国競争政策担当当局の審査の実務についても資料を入手した。 (3)最近の企業統合に関する理論的発展を踏まえ、実際の事例についての実証的に検討を行うための合併対象企業のデータ収集作業に取り掛かっている。 これまでに明らかになってきたのは、従前からある一定の取引分野(市場)の確定や効率性の抗弁にかかわる費用構造の確定等の問題に加え、最近では(1)持株会社や経営統合といった統合形態の複雑化や(2)合併事由が経営者の個人的利益の追求でかならずしも企業の利益とは一致していないという問題(いわゆる塹壕仮説)が大きくなってきているということである。 次年度はこれらの問題点を、実証的に明らかにすべく、日本企業の実際の合併事例の分析を行うこととしたい。
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