本件は、東チモール、アチェ、イリアンジャヤ地域を始めとして、既に独立した国家を含め、地方分権への政治的要求が高まるインドネシアを事例として、地方分権の経済厚生に与える影響を分析するものである。今年度の研究については概略以下の通り実施した。 今年度は国内学会報告、インドネシア研究者との交流、フィールド調査を通じてインドネシアにおける地方分権と貧困の因果関係について調査を行い、計量分析を含め、研究調査を行った。同調査の結果、地方分権が政治的参加要求の結果として実現した場合必ずしも経済的便益が伴わない場合が多いものの、貧困層の地方分権に対する評価は全体的に高いことが判明した。この傾向はインドネシアから完全独立を果たした東チモールにおいて特に顕著であった。 同調査にあたっては、国際大学大学院生に、データ処理や英文報告書作成の補助を依頼した。また、研究成果の一部は学術論文としてAsian Economic Journal誌に発表した。来年度も引き続き、フィールド調査と国内外の学会交流・報告を通じて、当該研究課題を完成していく所存である。
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