研究概要 |
今年度の研究成果は、"Simulating Tax-Mix Policies with Inheritance Taxes in Aging Japan"(Okayama University Discussion Paper : No. I-45)に纏められている。この論文では、ライフサイクル一般均衡モデルによるシミュレーション分析の手法を用いて、少子高齢化が急速に進展するわが国における、望ましい税制度について検討している。これまでの分析結果により、少子高齢化社会においては、効率性・公平性の両方の観点から、究極的には累進支出税を中心とする税制度への移行が望ましいことが見出されている。しかしながら、実際の税制度を考慮する場合には、幾つかのタックス・ベースを適切に組み合わせることが必要とされる。 この論文でのシミュレーション分析の結果、世代間移転に対する課税をもっと強化する必要があること、また、累進支出税と相続税のタックス・ミックスが最も望ましいことが、効率性・公平性の両面から定量的に示された。ライフサイクル仮説によると、少子高齢化が進展するにつれて貯蓄率が低下していくが、,相続税は支出税に次いで資本蓄積効果が強く、効率性の面で優れている。さらに、近年わが国では遺産を通じて世代内部の不平等が後世代に引き継がれる傾向が高まっているため、公平性の面でもこの政策は支持される。このように、少子高齢化が進展するにつれて、相続税の強化が今後ますます重要になっていくことが明らかとなった。
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