研究概要 |
今年度は、日本の株式投資信託に関するデータ情報の収集と、投資信託の計量的実証研究の手法を取得することに努めた。 日本の株式投資信託のパフォーマンスに関するデータ収集とその分析はいまだ続行中であるが、暫定的には以下の通りである。上記Cai, Chan, and Yamada(1997)が分析対象とするデータ期間1994年の後、外資系の独立系の運用会社の多数参入で、競争も激しくなり、日本の投資信託市場にも構造変化が起こった可能性がある。1999年から2000年初頭までのITバブル期は、IT関連の銘柄のみが急騰するというパターンで、アクティブファンドのパフォーマンスは市場インデックスをはるかに明らかに上回っていた。しかし、ITバブル崩壊後は、成長株への集中投資が裏目に出て、かえってインデックスを下回っている傾向が見受けられる。直近でも、日本の株式市場に急反騰が起こった3月第1週は、一部の旗艦アクティブファンドが上昇局面でインデックスに追いつけないという結果が得られた。 日本の株式投資信託に関する先行する実証研究としてまずCai, Chan, and Yamada(1997)が挙げられる。この論文が、最も包括的で、availableな実証手法をほとんど全て行なっている壮大な研究である。この論文は、自分の研究プロジェクトに最も役に立つものとして、吸収したいと考えている。また日本人の先行研究として、単なる殴米の手法の当てはめだけでなく、手作りの現実的工夫も加わった大村敬一氏の論文も多いに参考になることがわかった。
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