研究概要 |
本年度は,業績測定についての文献研究とモデル構築,およびフランスにおける業績測定の実態について研究した。 1 (1)文献研究の成果 文献研究の成果は,論文「直接原価計算の長期的問題への有用性に関する一考察」として発表した。直接原価計算は短期利益計画のための計算技法であるといわれていた。本論文では,ABCの測定方法を直接原価計算に持ち込むことによって固定費の管理について長期的な視点を持ちうるということを明らかにした。 (2)モデル構築 一方,論文「計算目的の拡張と直接原価計算の改善」では,新しい直接原価計算の構造モデルを提唱した。分権化された組織の業績測定のために,従来の直接原価計算上で経済的付加価値の計算と,キャッシュ・フロー計算を可能に出来るようなモデルを提案した。 2 ヨーロッパにおける調査活動 ヨーロッパにおける業績測定の実態を調査するため,フランス(トゥール大学,11月)を訪問し,資料収集および研究打ち合わせを行った。日本・フランス双方の業績測定に関するカレントな問題を議論するとともに,業績測定のための直接原価計算の実施状況について,日仏共同で実態調査を開始することを決定した。
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