平成13年度は、以下の3つの成果を得た。 まず、ラフ集合理論の基本文献を整理し次のことを発見した。これまでの統計学で把握することが難しかった、組織の中で働く人たちの感情や感性などの言葉の中に潜む法則や関連を測定し分析できる可能性を見出した。したがって、質間表調査などで、これまで以上に言葉の中に込めたほんの少しのニュアンスの差を測定できる可能性が拡がった。 次に、分析対象を特定化した。アメリカと日本で現在共同調査を行っている5杜とのインタビュー調査や研究対象地域の現地調査から、分析対象を次の3つに絞ることにした。(1)郊外大型店内の各店舗、(2)中心街にある百貨店内の各店舖、(3)アーケード街の各店舖である。さらに、各カテゴリー内の企業を優良店舗と斜陽店舗に区分する。この分析対象に特定化した理由は、3つあり、まず、各カテゴリーに属する各店舗が感じる組織文化をまとめてそのカテゴリーのコンピテンシーを測定する狙いがあること、次に、それによりカテゴリー間のコンピテンシーの違いを把握すること、そして最後に、各カテゴリー間の優良・斜陽店舗の組織文化を比較しその違いをもたらすコンピテンシーを発見することである。 最後に、アンケート調査項目の絞り込みである。上記の5つの企業とのインタビュー調査や現地調査及ぴコンピテンシー関連の文献の整理から、多数存在するコンピテンシー測定尺度の中から、質問表調査の際に用いるアンケート項目を絞り込んでいる。これは現在も進行中であり、研究の進展によっては若干増減する可能性はある。
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