研究概要 |
平成13年度の研究実績の概要は当初に示した計画書に基づき実施している.第一に,情報技術の発展に伴う企業経営環境の変化を焦点に当てた上で,情報技術と会計情報の関係,及びそれに対する企業関係者の意識変化を様々な側面から分析・調査中である.具体的に各業種・企業の関連部署ごとの担当者への聞き取りや著名な研究者の文献収集サーベイを実施した.その際,会計情報のシステム構築・整備状況に対する質問事項を幾つか設定し,グローバル化に端を発した会計基準の見直し,とりわけ連結決算書,キャッシュフロー,退職給付,金融商品,時価会計,税効果,及び減損会計といった新たな会計専門知識が不可欠な企業担当者への影響に着目している.彼らの認識とその対処法に関連し,企業の情報システム構築における会計情報の役割について,文献や有料データベースの活用により現状把握を行い,また監査法人(公認会計士)と企業の協力関係について調査中である. 当然,我が国企業における会計事象の大部分は欧米企業において常識の範囲内であるが,北米(アメリカ・カナダ)における海外調査を中心として行い,企業の会計情報システムの構築状況やその効果についての分析を継続中である.また,一つのマネジメントツールとして会計情報を認識する際,単なる電子情報というデータ連携面だけでなく,個々の企業や業種によりいかなる背景と要請に基づきそれが組織化されるのか,どう利便性と結びつくかを慎重に調査している.また,それが企業の競争戦略上重大な影響を及ぼすため,頻繁な情報交換と慎重な分析を試行している. 以上,平成13年度の研究実績を述べたが,未だ発展途上にあり次年度(平成14年度)における綿密な分析と考察を行った上での整理が待たれる.
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