研究概要 |
共形場理論の一種であるWZW模型をRiemann球面上で考えた時、そのlevelがcritical level(Lie環のdual Coxeter数の(一1)倍)でない時は、理論は点の配置のmoduli空間上の可積分接続(KZ方程式)で記述される事は良く知られている。また、levelがcritical levelに近づくときの漸近挙動は、可積分な格子模型の一種であるGaudin模型やRiemann球面上の幾何学的Langlands対応と密接に関係する。 楕円曲線上の標準的なWZW模型に対しても、これまでに本研究者によって ・KZB方程式の解の積分表示; ・critical levelである量子可積分系(face Gaudin 模型)を記述すること; ・脇本加群の理論を応用によるBethe vectorの構成; 等が研究された。本年度はこれを本研究者が導入した非標準的なWZW模型(twisted WZW model)に拡張してEtingofの楕円型KZ方程式やXYZ Gaudin模型についての結果を得ることを目標とした。しかし、現在この模型に適用可能な脇本加群の理論が無いため、可解格子模型の研究で知られているintertwining vectorを応用して上記の標準的な模型の結果から非標準的な場合の結果を得る事を試み、楕円型KZ方程式について研究をしているオーストラリアのZhang, Zhao両氏らと意見交換を行った。 また、量子重力理論や位相的弦理論に現れるVirasoro条件を調べるため、新しい無分散可積分系(dispersionless mKP hierarchy)を構成して解の特徴づけ等を行った。
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