位相空間の部分空間上の1の分割(及び、1の分割の概念を一般化した良い性質を持つ連続関数族)を全空間上の1の分割(及び、同様な関数族)に拡張できるという性質に関して研究を行った。本研究の主目的であった積空間に関するDydakの問題の解決には至らなかったが、Dydakの別の問題の解決を含む基本的な性質を明らかにする次の結果を得ることができた。 1.位相空間とその部分空間から構成されるマイケルタイプの位相を導入した空間において、ある部分空間上の可算濃度な点有限な1の分割を全空間上の点有限な1の分割に拡張できるとき、その部分空間と全空間はあるカテゴリーの条件をもつということを示した。これにより、「有理数全体の集合における点有限な1の分割をマイケル直線上の点有限な1の分割に拡張できるか」というDydakの問題に否定解を与えることに成功した。この結果を論文としてまとめ、日本数学会秋季総合分科会においてその成果を発表した。 2.1の分割を一般化する概念である、点別有界な同程度連続関数族の拡張性に関して以下の結果を与えた。点別有界な実数値同程度連続関数族の拡張性は、P-埋蔵性(すなわち、フレッシェ空間への連続写像の拡張性)で特徴づけられ、さらに、フレッシェ空間への写像の点別有界な同程度連続写像族の拡張もP-埋蔵性として特徴づけられるという結果を得た。これらの結果は、コンパクト開位相をもつ関数空間および写像空間のコンパクト集合の拡張性を直ちに与える一方、Heath-Lutzer-Zenorによる族正規性に関する古典的な定理の一般化でもあり、広い応用を与えた。これらの結果を論文としてまとめ、12月のジェネラルトポロジーシンポジウムにおいて口頭発表を行った。
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