コンパクト単連結かつ向きづけられた4次元多様体上の自己双対計量に付随するツイスター空間の複素幾何学的な性質について研究を行った。 上記の条件の下、自己双対計量のスカラー曲率が正であることを仮定すると、多様体は4次元球面か複素射影平面の連結和と同相でなければならない。二つの複素射影平面の連結和の場合はPoon(1986年)の研究により完全に解明されている。三つの複素射影平面の連結和の場合は、Poon(1992年)、Kreussler-Kurke(1992年)の研究があるが、完全な解明にはいたっていなかった。そこで筆者は彼らの研究を引き継ぎ、上記Poonの結果では存在しないことになっているツイスター空間が存在することを証明した。さらに、それらのツイスター空間は自己同型群が連続的であるものとして特徴づけられることを証明した。また、これらのツイスター空間の複素幾何学的な構造を決定した。そしてこれらの結果を論文Degenerate double solid as twistor spacesとしてまとめた。 また4つの複素射影平面の連結和の場合についても研究を行った。特に自己同型群が連続的であるもので、かつツイスター空間の代数次元が2以下であるものについて、その存在問題を中心に扱った。得られた結果の一部を論文Equivariant deformations of meromorphic actions on compact complex manifoldsとして発表した。
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