研究概要 |
昨年度に引き続き、コンパクト単連結多様体上の自己双対計量、およびそれに付随するツイスター空間の複素幾何学的な性質について研究を行った。 昨年度、筆者は3つの複素射影平面の連結和の上の自己双対計量で、自明でないキリング場をもつものの存在を、既知の自己双対計量の同変変形を考えることにより証明したが、本年度はまずこの結果の、自己双対計量の貼り合わせ理論(gluing method)に基づいた別証明を与えた。このような自己双対計量は、存在自体がそれまでこの分野で予想されていなかったため、別証明を与えることは十分意義のあることである。さらに、このツイスター空間の複素幾何学的な構造を研究し、その構造定理(分岐因子の双有理同値類の決定)を与えた。この結果を論文Donaldson-Friedman construction and deformations of a triple of compact complex spaces, II,としてまとめ、海外の専門誌に受理された。 第二に、筆者は4つの複素射影平面の連結和の上の、非代数的なツイスター空間の研究を行い、自明でないキリング場があれば、ツイスター空間上には非特異な楕円曲線のC^★-軌道がただ一つ存在することを示した。さらに、そのようなツイスター空間の存在定理を非常に強い形で与え、Campana-Kreusslerが2000年に提出した問題に対して、より強い形で(群作用つきで)肯定的な解答を与えた。この結果を論文Non-Moishezon twistor spaces of 4CP^2 with non-trivial automorphism groupとしてまとめ、海外の専門誌に投稿した。
|