研究概要 |
実及び複素射影直線上の配置空間に関する研究を行った。実配置空間の各配置に対して、それと外角をパラメータとするShcwarz-Christoffel写像による多角形像を対応させると、これは多角形の相似類を定め、さらにその対応は複素平面上の外角を固定したn角形の相似類の空間の上への1対1写像を与える。一方、複素平面上の多角形の同型類の空間は、多角形の辺の長さをパラメータとするベクトル空間のある錐とみなることができる。各多角形にその面積を対応させる関数は、2次形式を与えることが容易にわかるが、実はこの2次形式の指数は、そのベクトル空間上の(1,n-3)型である。多角形の相似類は、その代表元として面積1の多角形を一意的に選ぶことができるから、多角形の相似類の空間は同型類の空間の面積1の部分空間として、実現される。これは、相似類の空間が自然に双曲構造をもつことを表しており、しかも双曲多面体の内部に同型なことがわかる。実配置空間にはこのようにして双曲構造が入り、その完備化はこれらの多面体の貼り合わせで得られ、それは一般には双曲錐構造を与える。ここで大変興味深いことは、この完備化で得られた空間はMostow-Deligneによる点の配置空間のコンパクト化、すなわちα-安定点のモジュライに完全に一致していることである。 本年度は、上の同型に現われる双曲多面体の構造に関して研究をすすめ、特にボストンカレッジ滞在中には、Meyerhoff教授による最小体積の3次元双曲多様体との関係、また、3次元双曲多様体のChern-Simons不変量の単体的表示について研究を行った。
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