研究概要 |
Strong Perfect Graph Conjecture(理想グラフに関する強い予想)とは、「極小な非理想グラフは弦を持たない5点以上の奇数点サイクルとその補グラフに限られるであろう。」という予想であり、現在のグラフ理論が抱える、最も重要な予想の1つであります。本研究においては極小な非理想グラフの有する様々な組合せ構造を明らかにしてゆく過程を通じて、一意彩色可能なグラフの彩色構造を局所的、大域的にうまく特徴付けることを目指して、研究を進めて参ります。 本年はGrinstead's Conjectureという、「circularなPartitionable Graph」に関する、Strong Perfect Graph Conjectureをimplyする難予想に着手致し、その解決へ向けて様々な角度から研究を進めて参りました。豊富な代数的構造を持つcircularなグラフの上では、強理想グラフ予想を導く難予想(Grinstedの予想)が知られていますが、これまではクリーク数が5以下の比較的自明な場合にその成立が確かめられたに過ぎず、予想が一般に成立する可能性は低いものと考えられていました。本年の成果としては、このGrinstedの予想に関して、この予想が成立するクリーク数の上限を、hand proofとしては9まで、computational proofとして一気に14にまで押し上げることに成功しました。その過程で、この予想が一般に成立する可能性を示唆する様々な様相が解明されつつあります。本成果は、"Grinstead's Conjecture is true for some fixed $\omega(G)$'s"というタイトルで「The 13th Workshop on Topological Graph Theory at Yokohama National University on November 8-9, 2001.」において発表した他、preprintにまとめて、然るべきjournalに投稿を検討中であります。 理論べースのapproachとしては、組合せ論的グラフ理論、整数計画法、位相幾何学的グラフ理論の3つの視点を柱とする研究を進めていきました。その際必要となる論文誌や書籍の購入費用、および上述致しました国際シンポジウムや国内の学会での発表に要する費用を適宜、申請致しました通り、使用させて頂きました。 また、計算機シュミレーションによる反例の探索とcomputational proofに要する計算機環境の実現と整備に対し、必要な範囲で、申請致しました通り、適宜な計算機周りの消耗品を購入致しました。
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