今まで代表者は、「変数に依存した」測度とそのラプラス変換とを関係付ける指数タイプのタウバー型定理について研究をしてきた。そして、今年度の研究により、代表者は、今まで既に発表した指数タイプのタウバー型定理におけるいくつかの仮定は、本質的にはFenchel-Legendre変換と密接な関係があることが分かった。そこでこの関係について新たに研究をし、本質的な条件のみに着目することにより、以前に発表したタウバー型定理の仮定に述べられている条件を緩めた。その一方で、本質的な条件についてはFenchel-Legendre変換の問題に帰着させて説明し、その条件が成り立たない場合にも測度とラプラス変換の関係についてある種の評価ができることを示した。これらの研究結果により、指数タイプのタウバー型定理の応用範囲が広がった。そして次に、もともとタウバー型定理はガウス過程の局所時間の末尾確率の研究から派生した問題であることに立ち戻り、これに関連してfractional Brownian motionの共分散行列の行列式の漸近挙動に関する研究も行った。fractional Brownian moticmとは正規性と自己相似性に着目してブラウン運動を拡張したものである。そして、今年度の研究結果として、fractional Brownian motionの相関行列の行列式のlog平均の極限が、ある意味において存在し、しかもそれはfractional Brownian motionの自己相似性を示すindexに依存した定数になることが示せた。これらの結果を導き出すにあたっては、subadditive ergodic theoremを用いて示した。
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