研究概要 |
工学や医学など多くの分野と関連して現れる逆問題の解の構成に対する数学的研究は体系的には進んでおらず、様々な問題点が指摘されている.逆問題は数多くのケースで非線型で、ごく稀な場合を除いてその解を解析的に表示することが一般に不可能である.工学・医学での応用のために解の形状を具体的に目に見える形で得るには数値解析的手法に頼らざるを得ない。これに対し,逆問題のなかで医学的にも応用上も重要である,非侵襲的に脳内の活動を測定する問題を取り上げ,特に非侵襲的に脳内の神経細胞による(電気的な)発火活動の情報をとらえることを念頭において,作用素としてマックスウェル方程式を考え,その解の領域表面のデータから内部の電荷分布の時間的変化を決定する問題を考察した。境界データ込のCarleman評価を利用して一般の偏微分作用素に対する一意接続性定理は既に示していたが,作用素としては弾性体方程式に対しても同様のことが示すことができた.波動方程式の逆問題の解の一意性が示される範囲は、その作用素が一般に一意接続可能な範囲と同じであるがシステムの双曲型に対する逆問題の一意性はそのような結果が得られていなかった.また実用化を目指すために数値計算を行なうために数値計算法を設定し数値計算を行った.関連する問題として波動方程式の逆問題(非適切方向の場合)がありこれは,変数係数の低階項つきの波動方程式に対してcrltical timeでのexact controllabilityの問題とも関係があり重要な問題である.この制御問題は,その空間領域となる底面の直径に対して時間方向の長さが一致しているので通常の可制御性の問題と違いcrltical timeでのexact controllabilityを考えなくてはならないものとなっているので解に特異性が出ることがわかっている.この制御が可能ならば非適切方向の場合の波動方程式の逆問題(ラテラル方向)の解の一意性が示すことができた.またマックスウェル方程式に対してはポイント電荷の位置と電荷量を決める逆問題の解の一意性を一意接続性定理をもちいて示し,それに対する数値解法を提案し数値計算を行った.
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