圧縮性Navier-Stokes方程式に対する様々な問題に対して考察を行い、特に時間大域解の存在、定常解の存在、解の漸近挙動について研究を行った。未だ研究途上にあり、成果の取りまとめには至っていないが、いくつかの部分的な結果が得られた。主な研究成果を以下に述べる。 (1)非有界領域における問題 3次元外部領域におけるバロトロピック流に対する球面対称解や、半直線領域における解の時間大域的な挙動を考察した。前年度の研究において、外力が存在しなければ時間大域解は一様有界であり、定常解へ漸近するとの結論が得られているが、ポテンシャル外力が存在する場合においても、初期値および外力が適当に小さければ、時間大域解の一様有界性や定常解の安定性について、同様の結論が得られる事が明らかとなった。また、松村氏のinflow、outflow問題に関連して、3次元外部領域において境界からの流体の流れ込み(流れ出し)が存在する場合について考察を行ったが、定常解の存在に関しても部分的な結論にとどまっており、今後の課題として残された。 (2)真空解の問題 3次元外部領域における球面対称な真空解(定常解)の存在について考察を行った。ポテンシャル外力を与え、無限遠方において真空状態であるとの境界条件を課す。外力、断熱定数および定常解に対する適当な条件のもとで、定常解(真空解)を具体的に構成した。なお、定常解の安定性については何も得られておらず、今後の課題として残されている。
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