研究概要 |
今年度の研究計画は,下記のとおりであった: ●第一段階:ホップ分岐直後,安定な周期軌道が生じた系にDFCを印加したときの"平衡点の安定化メカニズム"を解析する.さらに,1回目の周期倍分岐直後にDFCを印加したときの平衡点の安定化についても考える. ●第二段階:周期倍分岐によって2倍周期(周期2T)が生じた系にDFCを印加した場合の数値計算を実施し,それによって得られるであろう周期軌道について,"もとのシステムの不安定周期軌道であるかどうか?"を明らかにするような,"解析的手法の模索あるいは開発"を試みる. これに対して,今年度の研究による成果は以下のとおりである: ◆第一段階:「ホップ分岐直後の系にホップ分岐解の周期を時間遅れに持つDFCを印加しても,平衡点の局所安定性には影響を及ぼさない」ということが解析的に証明できた.この結果については,12月にハノイで開催された国際会議(Internatinal Conference on Differential Equations, Approximations and Applications)において,発表を行った.本研究の計画時には,周期軌道だけでなく平衡点もDFCによって安定化されるとの予測を持っていたわけであるが,この結果から,ホップ分岐解の周期を時間遅れに持つDFCを印加する場合には,平衡点が安定化されるわけではないことがわかった.なお,周期倍分岐後については,現在も検討中である. ◆第二段階:1次元モデルに対する,Mathematica上での数値計算プログラムを作成した.これは,本段階における目的を達成するために補助的に用いられるものである.残念ながら,本段階における目的に対して,現在のところ目覚ましい結果を得るまでには至っていない.
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