今年度の科学研究費補助金により、楕円型方程式の大域構造について以下のことが解明できた。 まず、松隈型方程式といわれる、球状星団の重力ポテンシャルを記述する楕円型方程式について研究を行った。この方程式にある非線形項の係数関数の無限大での挙動が、解の構造に影響を与えることを解明し、その解の漸近挙動を解明することに成功した。また、ソボレフ臨界指数の周辺での挙動も明らかにし、これにより松隈方程式の大域構造が明らかにされた。この結果は、日本数学会欧文学会誌Journal of the Mathematical Society of Japanに掲載予定である。 また、不完全分岐に関わる問題に関しては、3次元のBrezis-Nirenberg型方程式についての解の挙動を解明し、第三種境界条件の係数により解の挙動が異なることが解明でき、大域構造をより詳細に解析できた(日本数学会函数方程式分科会誌Funkicialaj Ekvacioj[エスペラント語で「函数方程式」の意]に掲載予定)。さらに、基礎的な構造研究として球対称解の構造研究を行った(Communications on Pure and Applied Analysis 1巻1号に掲載)。 今後の展開として、松隈型方程式の解構造の完全分類、Brezis-Nirenberg型方程式とスカラーフィールド方程式を統合したうえでの不完全分岐の解明を目指している。
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