研究概要 |
本年度は最初に、C^<18>O分子雲コア探査のためのガイドマップとなる^<12>COによる分子雲探査を行った。これは、「なんてん」に搭載されている受信機が^<12>COスペクトル用に設定されていたためである。観測は、高銀緯領域にある我々に近い分子雲や、AquilaからCrA領域にアーク状に伸びている分子雲複合体の観測を行ってきた。これらの結果、10個を超える今までにマッピングされていない分子雲を検出でき、さらに、C^<18>Oが検出される可能性の高い^<12>COスペクトルの強度の強い分子雲も何個か見つかった。また、^<12>COスペクトルの強度が比較的強い高銀緯分子雲、MBM53,54,55複合体のC^<18>Oによる分子雲コア探査も行った。その結果、有意なC^<18>Oスペクトルを検出することはできず、この分子雲複合体は、比較的形成初期の分子雲であることが明らかになった。H^<13>CO^+スペクトルでは、へびつかい座ρ星の近傍にあるサイズが0.数パーセク以下と極めてコンパクトなC^<18>Oコアの観測を行った。その中心部はH^<13>CO^+スペクトルにおいても強度が強く、そこで星形成がまもなく起こる、もしくは、既に極めて若い段階の原始星が生まれている可能性が極めて高い。また、ρ星による影響を受けて、密度が高まった兆候が見られる。 一方、「なんてん」望遠鏡に搭載予定であった230,280GHz帯受信機は、同時に行う予定であった望遠鏡の主鏡交換作業が来年度のチリの夏に延期されたため、設置することができなかった。新しい主鏡は、200GHz以上の周波数の電波においても減衰が極めて少なく、230,280GHz帯受信機の性能を発揮するには必要不可欠である。
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