研究概要 |
超伝導受信機に用いるSIS接合ミキサーの性能を充分に引き出すために必要な「IF帯域(通過帯域)で最良な平坦特性をもつローパスフィルター(SIS接合ミキサー周辺に配置されるフィルター)」とSSB受信機を構成するのに欠くことのできない「広帯域な90度ハイブリッドカプラー」の設計とスケールモデルによる評価をおこなった. まず,ローパスフィルターの設計では,IF帯域(通過帯域)で最良な平坦特性が得られるようにバタワースフィルタを採用し,回路理論的な設計手法に基いたSIS接合ミキサーのインピーダンスの変更に柔軟に対応できる設計手法を提案した.また,実際にその設計手法に基づいてローパスフィルターのスケールモデルを製作し,電磁界解析の結果通りの動作を確認した.このフィルターは,通過帯域でのリプルはゼロであり,インダクター部やキャパシター部の長さを変えることで,ローパスフィルタとして動作する周波数領域を任意に変えることが可能である. 次に,90度ハイブリッドカプラーの設計でも,上記のローパスフィルターの設計と同様な回路理論的な設計手法を用い,E分岐とH分岐のどちらの3dBブランチラインカプラに対しても柔軟に対応できる設計手法を提案した.この手法に従えば,「RF用の導波管タイプの90度ハイブリッドカプラー」と「IF用のストリップ線路タイプの90度ハイブリッドカプラー」のどちらでも,基本設計(電磁界シミュレータにかける前の設計)が可能である.2段から5段までの90度ハイブリッドカプラーに関する考察したところ,4段で比帯域が約60%以上,5段で比帯域が70%以上の広帯域な90度ハイブリッドカプラーが実現できることが分かった.これらの90度ハイブリッドを実現するためにλ/4伝送線路の形状の検討を行った.そして,ストリップ線路(Paired Strips)を用いて,4段の3dBブランチラインカプラを設計し,電磁界解析の結果通りの動作を確認した.
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