ガンマ線バーストは現在宇宙物理学の分野の中で中心的な課題の一つである。現在電波から高エネルギーガンマ線のエネルギー領域に渡り、その時間変動やエネルギースペクトルを通して研究が行われているが、まだそのエネルギー発生メカニズムが解明されていないばかりか、どの様な天体がガンマ線バーストになるかもはっきり分かっていない。エネルギー発生メカニズムを解明するためには、偏光度の観測が非常に重要となるため、我々は一番S/N比が高いと思われる硬X線領域で偏光を測定できる検出器を現在開発している。我々が計画している偏光度検出器は、セグメント化された散乱体(プラスチックシンチレーター)とその周りを囲む吸収体(Zの大きいシンチレーター)にマルチアノードPMTを取り付けたものを単位としている。この検出器の性能は、散乱体でどの程度の低いエネルギーまで検出できるかによって決まる。そこで大きさや表面状態を変えたプラスチックシンチレーターを数種類用意して、どの程度まで低いエネルギーまで読み出すことができるかを実験的に調べた。その結果、シンチレーター表面を鏡面研磨した場合に一番良い結果が得られる事を発見した。また0.5cm×0.5cm×4cmのプラスチックシンチレーターで、6keVのエネルギーデポジットを80%程度の検出効率で捕らえる事に成功した。この結果をコンピューターシュミレーションに入れて、現在考えている検出器のフルシュミレーションを行った。その結果、20cm四方の有効面積でも、10秒間継続する10Crabのガンマ線バーストを十分検出できる事が分かった。
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