研究概要 |
本研究の目的は、「宇宙項の状態方程式の解明」であり、今年度は、「Ia型超新星の観測から予想されるデータをもとにした宇宙項の状態方程式の決定」と「銀河・銀河団による重力レンズ統計の状態方程式依存性」の課題に取り組んだ。 前者に関しては、SNAP(Super Nova Acceleration Probe)衛星などによる観測により年間2000個程度の超新星が観測されれば、状態方程式の決定は十分可能である、という結論を得た。また、後者に関しては、主に銀河団による重力レンズ効果について解析を行った。結論として、重力レンズ統計は宇宙モデルの依存性以上に銀河ハローのモデルに非常に敏感であり、宇宙モデルの制限よりはむしろ銀河ハローのモデルに制限がえられる可能性を指摘した(Takahash-Chiba(2001), Chiba-Takahashi(2002))。 また、最近遠方のクェーサの吸収線の観測から微細構造定数(α)が現在の値から0.001%程小さいのではないか、示唆が得られている。この物理定数の時間変化をダークエネルギーの役割を果たす軽いスカラー場(quintessence)と電磁場との相互作用から説明しうる可能性とそれがもたらす等価原理の破れの観測可能性についても議論した。
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