本研究では、GeV〜10TeV領域の宇宙線電子・ガンマ線観測装置に用いるバックグランド除去能力の高い高速データ収集システムを構築するために、入射粒子が起こすカスケードシャワーの形状を画像パターンとしてシンチファイバーと光電子増倍管(PMT)で読み出し、オンボードでの画像認識による粒子選別を行うシステムを開発する。 そのためにヒットパターン(ON/OFF信号)をディスクリVLSI(TAN、IDE社製)から読み出さなくてはならない。このVLSIは32チャンネル分のディスクリ回路を内蔵し、各チャンネルのヒット(ON/OFF)信号が出力されている。まずは、ディスクリチップのテスト環境を選定しなくてはならなかったが、IDE社との相談の結果、ディスクリチップと対になるアンプチップ(VA32_75)の一組を内蔵した扱いの容易なPGAパッケージを入手することができた。このときテスト用に少量購入の交渉をIDEと行い、それからの製造納品(納期3ケ月)であったため、今年度はこのパッケージの入手で終わった。現在も読み出しテストのために計算機への入出力ボードの準備を進めている。来年度に継続してテストを行う予定である。 またシンチファイバー検出器については、PMTの64chのアノードに64本のシンチファイバーを対応させるために位置の微調整ができる治具が必要であったため、これを製作した。この治具を用いたシンチファイバー検出器でビーム実験も行って、現在そのデータを解析している。
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