不整合相においてドメイン壁がソリトンとして巨視的な数現れることが知られているが、近年の高温超伝導体における不整合ストライプの観測に伴い2次元ソリトン格子の量子効果に興味が持たれる。2次元不整合相にみられるストライプ構造、及び蜂の巣構造のドメイン壁の量子揺らぎの効果を調べ、整合相一不整合相の量子相転移の振る舞いを明らかにした。また、これら2つの構造(固体状態)の量子融解の可能性を調べ、ストライプ構造は、ストライプ間隔が大きい時に量子揺らぎにより転位が現れ融解し、新しい量子液体状態(ストライプ流体)となる事を予言した。この量子融解転移は3次元XY模型の転移と等価である。通常、3次元の融解は1次転移であり、ストライプは2+1次元で融解が2次転移となる初めての例である。この研究により、グラファイト上の吸着原子の不整合相におけるソリトン流体相と固体相の相図を得た。この相図は実験結果を良く再現しており、今後ストライプ流体相が観測されることが期待される。
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