当研究課題では、位相的場の理論の研究、特に複素射影空間内の超曲面の量子コホモロジーの研究、及び、4次元代数多様体上のN=4超対称性を持つゲージ理論のS-双対性の研究が具体的な課題であった。 今年度は、この課題において大きな進展があった。 まず、超曲面の量子コホモロジーについては、今まで明らかでなかった一般型の超曲面の量子コホモロジーと超幾何微分方程式との関係を、ガウス_マニン系を用いて明らかにしたことである。この手法は、一般型の超曲面の場合にも、量子コホモロジーを微分方程式の理論で、扱えることを示唆し、今後の大きな発展が期待できる。研究課題の目標の達成も、現実的なものとなっている。 N=4超対称性を持つゲージ理論については、K3曲面上のSU(N)ゲージ理論の分配関数を、オービフォールドの手法を用いて導出することに成功した。 この結果は、分配関数と、アフィン_リー環の結び付きを明らかにし、他のゲージ群に対応する分配関数の決定など、多くの応用が期待できる。
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