研究概要 |
本年度は主に、非発散正規直交ウェーブレット関数を乱流中のエネルギー輸送過程の解明に応用する上で重要となる、非圧縮流体の動力学の解析力学的な側面の研究をさらに深める方向で研究を進めた。 研究の結果、ウェーブレットを応用するに当たって、これまでの研究では無視されがちであった発散性の成分のダイナミクスへの寄与をはっきりさせることが必要であることが判った。その方向で流体力学の配位空間の構造の研究に進み、圧縮性流体の運動量輸送の方程式(いわゆるオイラー方程式)のハミルトンの原理に基づいた作用の変分計算問題を解析した。解析の結果、運動量輸送の方程式を導出する際の問題点として、速度場の変分を流体の配位の仮想変位場を用いて書き下さないと正しい運動方程式に辿り着かないこと、方程式の導出の過程では熱力学的な過程に関する考察が不完全なままでも十分なことが明らかになった。 この研究結果は、『完全流体の解析力学とEuler的記述でのEuler方程式の導出』,京大数理研共同研究集会「乱流による輸送、拡散、混合の数理」,(京大数理研,Jan.15-17,2003)において報告された。
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