研究概要 |
本研究は,温度変化によって岩石の磁化が変化し,地磁気変化として現れる熱磁気効果をもとにしている.活火山や地熱兆候地帯における地中の温度変化を地磁気変化によって検出し,さらに,その温度変化の空間分布やその温度変化にかかわった熱量を議論することが目標である.さらに,火山噴火や水蒸気爆発の予知につながる可能性を探る. 2001年7月に,科学研究費の補助を受け,高精度で安定した地球磁場の記録を取得することができるオーバーハウザー型プロトン磁力計を購入した. アクセスが困難な火山では,磁力計を恒久的に現場に設置しして連続記録を得ることが難しいため,決まった測定点を定め,定期的に繰り返し磁気測量を行うという方法を本研究では採用する.研究地域として,岩手山,秋田焼山を選び,地磁気繰り返し測量を行った. 現在の岩手山の成層火山体の中心をなす岩手山東部において,磁気点を計10点設置し,これまでにも年2回程度繰り返し磁気測量を行っている.2001年は,7月11日,9月29日,10月6日の3回にわたって,磁気測量を実施した. 岩手山西部では水蒸気爆発の可能性が指摘され,現在も一般登山者は立ち入り禁止となっているが,岩手山西部においても磁気点を計20点設置した.2001年は7月19日,7月20日,8月8日にわけて繰り返し磁気測量を実施した. 秋田焼山では1995年に小規模な水蒸気爆発があったが,新たに火口周囲に12点磁気点を新設した.2001年11月2日にこの12点で最初の繰り返し磁気測量を行うことができた. 地磁気永年変化を検出するこの種の研究においては,短期間で磁場変化のデータを取得することはできない.2001年中は観測点の設置,測定を行うことができたが,地磁気変化の検出は2年目の2002年を待たなければならない.したがって発表論文等はまだないが,次年度に向けての準備をすることができた.
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