本研究では、3次元大気輸送モデルを用いて、代表的な温室効果気体である二酸化炭素(CO_2)の循環について、全球規模の収支を定量的に評価することを目的とする。本年度に実施した研究の概要は次の通りである。 1)CO_2の濃度について計算を行う3次元大気輸送モデルを開発した。 2)大気輸送モデル相互比較実験(TRANSCOM)のプロトコルに基づき、化石燃料消費によるCO_2を用いた数値実験を行い、モデルの性能を評価した。 3)炭素の主要なリザーバーの一つである陸上生態系に着目し、陸上生態系が大気中CO_2濃度の季節変化と年々変化に与える影響を調べるために、4種類の陸上生態系モデルによるフラックスを用いた数値実験を行った。 4)大気-海洋間のフラックスが大気中CO_2濃度の季節変化に与える影響を調べるために、最近の二酸化炭素分圧(pCO_2)のデータを基に、4種類の大気-海洋間交換係数を用いて、フラックスデータを作成し、各々のフラックスを用いて数値実験を行った。 5)上記、化石燃料、陸上生態系、海洋からのフラックスデータを用いて、CO_2濃度の数値実験を行い、大気中のCO_2濃度観測値との比較検討を行った。
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