準2年周期振動(QBO)は赤道域下部成層圏の東西風や温度、その他の物理量が約2年周期で変動する現象として良く知られている。中緯度域においても温度変動に顕著に現われるQBOが存在することが知られているが、現象の記述そのものが今だ不十分であり完全な理解に至っていないのが現状である。そこで本研究では、過去40年にわたる高層観測データを用いることにより、中緯度域におけるQBOの時間・空間構造をこれまでより精密に記述することを第1の目的とする。 今年度は、まずデータ解析に必要となるデータ収集と環境の整備を行った。NCAR/NCEPの再解析データおよび全球のラジオゾンデデータを入手し、本研究のために新たに購入したハードディスクに格納した。統計解析を行いやすくするため、月平均値を計算し、データベースおよびデータベースヘのインターフェイスを構築した。さらに、初期的な作業として、過去約30年にわたる中緯度域における準2年周期振動(QBO)を抽出した。その結果、1970年代および80年代においては下方伝播するモードが卓越せずに直立モードが比較的明瞭であることがわかった。これは、これまでに90年代のデータのみを用いて調べた結果とは異なるものであり、今後この原因を探ることが重要な課題である。
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