今年度は、主に制御プラットフォームのフィージビリティースタディーを行った。ロケット・スペースシャトルなどで使われている、PC104規格での試作を行い、固体素子にオペレーティングシステムを組み込むことでネットワーク越しに機器を制御する部位までの開発を行うことができた。落下試験、低温試験は行っていない。この過程で、同一バス上での複数機器の同期処理に関する特許申請を行った。また、そのアプリケーションの一例として、流星・爆発現象などの分光などを目指した、高速分光装置に関する特許を申請した。 最近の低電力デバイスの進捗はめざましく、当初予定になかったこれらのデバイスの活用方法についても調査を行った。特に低電力のRICSデバイスの価格低下、消費電力低下には目をみはるものがある。驚くべきことに、最近ではこれらのハードウェアを直接FPGAの上で実現するHDLコードが出現してきた。これは従来メーカーが大規模な投資によって行ってきた、周辺機器を含むACIS(特定用途集積回路)の研究室レベルでの作成が可能となってきたことを意味する。携帯電話などで使用されているARM社のARM7のHDLコードが出回っていることに注目し、これをターゲットとした組み込みOSを使うことで当初の設計を行うことができるかどうかを調査した。この調査はまだ十分ではないが、先のCSICデバイスを用いたPC104規格によるプラットフォームの完成作成に加えて、来年度はより省電力、高密度実装の可能なRISC用HDLを用いた開発について調査研究を行う。 ここで成果とは直接関係ないことについて述べることのお許しを願いたい。従来このような特定の科学的成果を意図しない汎用品の開発申請は、代表者自身、通らないという既成概念を持っていた。今回の採択は、観測機器の開発に主力をおこうという立場のものにとって非常な励みとなっていることを一言申し添えたい。
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