交差分子線速度分解ペニング電子分光法による電子構造と立体反応ダイナミクスの研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13740319
• 研究種目: 奨励研究(A)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 岸本 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60302080)
• キーワード: ペニングイオン化 / 衝突エネルギー / 電子分光 / 分子軌道 / 相互作用ポテンシャル / 反応素過程 / 電子構造

研究概要

1.分子と励起原子の立体反応ダイナミクス
分子と励起原子のイオン化反応における(衝突エネルギー/電子運動エネルギー分解)2次元計測結果と理論計算結果を比較して、反応系の相互作用ポテンシャルの異方性と妥当性について検討することが出来た。特に、励起原子と類似性の知られているアルカリ金属原子を用いた分子軌道計算結果を補正する手法の確立により、超励起状態のポテンシャル面を議論した。
2.有機分子の軌道反応性と電子構造
ジフロロベンゼンなどの有機分子の分子軌道の反応性を、置換基どうしの相互関係と関連づけて検討した。また、(衝突エネルギー/電子運動エネルギー分解)2次元計測結果にもとづいて、DABCOなどの化合物でスルーボンド/スルースペース相互作用による分子内軌道相互作用を検討した。
さらに、臭化チオフェンなどの電子相関バンドを観測し、その断面積の衝突エネルギー依存性から、バンドの起源について議論が可能になった。
3.高感度速度分解ペニングイオン化電子分光法
磁気ボトル効果と阻止電場型電子エネルギー分析器を用いた計測法により、従来の同心半球型電子エネルギー分析器を用いた計測法よりも1000倍高感度の2次元ペニングイオン化電子分光法を確立し、いくつかの分子の(衝突エネルギー/電子運動エネルギー分解)2次元計測を行った。これにより、低濃度試料への2次元計測の適用を可能にした。

研究成果

• [文献書誌] 岸本直樹, 大野公一: "時間相関2次元ペニングイオン化電子分光法による励起ヘリウム原子-分子間相互作用の立体異方性"分光研究. 第50巻・第4号. 157-166 (2001)
• [文献書誌] Masakazu Yamazaki, Naoki Kishimoto, Masaru Kurita, Tetsuji Ogawa, Koichi Ohno, Kouichi Takeshita: "Two-Dimensional Penning Ionization Electron Spectroscopy of CO/He_* (2^3S)"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 114-116. 175-181 (2001)
• [文献書誌] Naoki Kishimoto, Yukio Osada, Koichi Ohno: "Penning Ionization of Amides by Collision with He^*(2^3S) Metastable Atoms"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 114-116. 183-190 (2001)
• [文献書誌] Naoki Kishimoto, Kohei Imura, Koichi Ohno: "Two-Dimensional Penning Ionization Electron Spectroscopy of Monohalogenobenzenes : C_6H_5X(X=F, CI, Br, I)"The Journal of Physical Chemistry A. 105. 4189-4199 (2001)
• [文献書誌] Kohei Imura, Naoki Kishimoto, Koichi Ohno: "Collision-Energy-Resolved Penning Ionization Electron Spectroscopy of Difluorobenzenes : Anisotropic Interaction of Difluorobenzenes with He^*(2^3S) and Assignments of Ionic States"The Journal of Physical Chemistry A. 105. 6073-6083 (2001)
• [文献書誌] Kohei Imura, Naoki Kishimoto, andKoichi Ohno: "Anisotoropic Interaction of Halogen Atom in C_2H_5X (X=Cl,F) with He^*(2^3S) as Probed by Two Dimensional Penning Ionization Electron Spectroscopy"The Journal of Physical Chemistry A. 105. 6378-6385 (2001)