これまで本研究によって、塩化N-t-ブチルベンゼンスルフィンイミドイル(1)を化学量論量用いるアルコールのカルボニル化合物への酸化反応、および触媒量のN-t-ブチルベンゼンスルフェンアミド(2)と化学量論量のN-クロロスクシンイミドを組み合わせ用いるアルコールの触媒的酸化反応を見出した。今回、これら二つの酸化反応の実用性をさらに高めるために、ポリスチレン樹脂に上記の酸化剤1を担持させた新しいポリマー担持型酸化剤の合成およびそれを用いるアルコールの酸化反応の開発を行った。 最初に、クロロメチルポリスチレン樹脂を原料として4-(N-t-ブチルクロロスルフィンイミドイル)フェニルオキシメチルポリスチレン(3)を合成し、これを化学量論量用いるアルコールの酸化反応を検討した。その結果、目的とする酸化反応は円滑に進行し、高い収率でカルボニル化合物が得られた。しかし酸化反応後、ポリマー酸化剤3は回収再利用ができないことが分かったので、この欠点を克服するために第二世代ポリマー担持型酸化剤として、ポリスチレン樹脂から4-(N-t-ブチルクロロスルフィンイミドイル)ポリスチレン(4)を合成した。このポリマー酸化剤4をアルコールの酸化反応に用いたところ、反応は円滑に進行し、かつ酸化剤4は回収再利用できることが分かった。また、N-クロロスクシンイミドを共酸化剤として用いることにより、ポリマー担持型酸化剤3や4を触媒量にまで低減化してアルコールの酸化反応を効率的に行うことができた。
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