金電極表面ルテニウム三核錯体単分子膜上への錯体ユニットの逐次ボトムアップ化:酸化還元活性なルテニウム三核錯体を金電極表面へ自己組織化法により固定化した後、その上ヘルテニウム三核錯体ユニットを逐次的にボトムアップ化した。その結果、錯体ユニットを第5層まで定量的に積み上げた多層膜の合成に成功した。配位多層膜の形成を電気化学、表面赤外分光法、さらにエリプソメトリーの測定により多角的に明らかとした。 金電極表面錯体単分子膜上での電位制御可逆的CO吸脱着反応の観測:ルテニウム三核錯体自己組織化単分子膜について一酸化炭素(CO)ガスとの相互作用を検討した。その結果、表面錯体がほぼ可逆的に繰り返し吸脱着する現象を電気化学および赤外分光法により明らかとし、速度論的に評価した。 レニウム六核クラスターの金電極表面単分子膜の構築と酸化還元特性:段階的末端配位子置換反応や発光特性などの分子特性を示すレニウム六核クラスターにジスルフィド-ピリジル配位子を2つ導入した錯体を合成し、単分子膜として金電極表面へ固定化する手法を開発した。レニウムクラスター単分子膜は水および有概溶媒中双方での酸化還元サイクルに対して極めて高い膜安定性を示した。さらに整流特性を示すなど電子伝達ユニットとして機能することも見い出した。 レニウム六核クラスターの溶液内位置特異的配位子置換反応に関する研究:表面錯形成反応に対する基礎的知見として、レニウム六核クラスターの配位子置換反応性に関して速度論的研究を行なった。その結果、配位子の置換反応速度は、クラスター骨格周りの配位幾何構造や配位子数、さらにクラスター骨格を構成するキャップ配位子の種類に大きく依存することを見い出した。
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