本研究は、超高強度合成繊維を用いたファイバーインチューブ固相マイクロ抽出法による複雑系試料の無溶媒試料前処理について研究するとともに、この新規前処理法と各種マイクロカラム液相クロマトグラフィーとのオンライン結合システムを構築することを目的としている。初年度である平成13年度の研究実績として、主に、以下のような成果があげられる。 1)分析物質を液体クロマトグラフィーに注入するためのインターフェイスの開発 インチューブ固相マイクロ抽出装置とマイクロカラム液体クロマトグラフィー用インジェクタを組み合わせるため、両者を効率的に結合するインターフェイスの開発を行った。 2)インチューブ固相マイクロ抽出/液体クロマトグラフィーシステムの製作 上記のインターフェイスおよび既存備品のマイクロフローポンプを使用し、インチューブ固相マイクロ抽出/液体クロマトグラフィーシステムを試作した。検出器には本研究費により購入した紫外検出器を用い、分析物質のリアルタイムでの同定・定量について検討した。 3)抽出条件(抽出流速・時間等)および脱着条件(溶媒の種類・流速・時間等)の検討 分析物質として芳香族化合物あるいは環境汚染物質等を利用して標準試料を調製するとともに、ファイバーチンチューブ固相マイクロ抽出法を用いてこれらを実際に抽出することにより、上述のような基本的な抽出パラメーターの抽出効率に対する効果について検討した。これと平行して、抽出媒体として用いる繊維の化学構造・形状とそれらの分析物質に対する選択性について系統的に研究することにより、新規な繊維を用いた抽出法の開発についても行った。 なお、本年度の研究成果の一部は既に、裏面に掲載した国際学術論文誌に発表している。
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