pex遺伝子の発現抑制に関係する遺伝子を分子遺伝学的に同定することを試みた。すなわち、カナマイシン耐性遺伝子をpex遺伝子発現の生物発光レポーター株(YCC001)にランダムに挿入し、得られた形質転換体コロニー群(約1万個)の中から、冷却CCDカメラを使って、強発光コロニーを30個見つ単離した。pex遺伝子の発現が増加すると概日時計の周期が約2時間延長することが分かっているので、単離したコロニーの生物発光リズムを連続的に自動測定した。その結果、そのなかの2つのコロニーの発光リズムの周期が野生型に比べて1から2時間伸びていることが判明した。次にpexの発現がmRNAの蓄積レベルで増加しているかどうかノーザン法で調べた。その結果、二つのうちの片方のコロニー由来の藍色細菌培養でpex mRNAが野生型よりも蓄積していることが確認できた。したがって、これがpex発現突然変異体であると考えられる。そこで変異体ゲノムに挿入されているカナマイシン耐性遺伝子とその近傍ゲノム領域を大腸菌プラスミドとして単離した。このカナマイシン耐性遺伝子の挿入が果たして変異を引き起こしているのか、すなわちpex発現の脱抑制に関わっているのかについて検証実験を行っている。また、これと同時平行して、このカナマイシン挿入によって分断されている遺伝子の過剰発現実験を行っている。
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