1.ペルオキシソームに局在するプロテアーゼAtLon1の解析 ペルオキシソームに局在する新奇なプロテアーゼとして同定したAtLon1タンパク質の変動および組織特異的蓄積をシロイヌナズナを用いて解析した。その結果AtLon1タンパク質は、発芽初期の芽生えで多く蓄積すること、光照射によって蓄積量が減少すること。ロゼット葉、茎生葉、茎では蓄積が見られないが、根、つぼみ、花ではわずかに蓄積することが確認された。現在、mRNAレベルでの発現解析を行っている。 2.シロイヌナズナの新奇低分子量熱ショックタンパク質HSP15.7の同定 ペルオキシソーム輸送シグナルPTS1を有する新奇な低分子量熱ショックタンパク質HSP15.7をシロイヌナズナにおいて同定した。HSP15.7の遺伝子発現は、熱ストレスによって誘導され、また花やつぼみで顕著であるという特徴がみられた。さらに組換えタンパク質を用いた実験から、HSP15.7は分子シャペロンとして機能する新奇なペルオキシソームタンパク質である可能性が強く示唆された。現在特異抗体を調製中であり、今後はHSP15.7の細胞内局在性、タンパク質レベルでの発現解析を行う予定である。 3.シロイヌナズナトランスポゾン挿入変異体を用いたペルオキシソーム酵素遺伝子の機能解析 理化学研究所から供与を受けたシロイヌナズナトランスポゾン挿入変異体を用いて、ペルオキシソーム酵素の遺伝子であるMFP2(多機能酵素;β酸化系酵素)、およびMDH5(リンゴ酸脱水素酵素;グリオキシル酸回路酵素)の機能解析を行った。両遺伝子の変異体であるmfp2およびmdh5の表現型解析、野生型におけるMFP2とMDH5の発現解析の結果、MFP2およびMDH5はともにシロイヌナズナの発芽初期における脂肪酸代謝に必須であることが示唆された。
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