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2002 年度 実績報告書

クロロフィル合成の律速過程プロトクロロフィリド還元酵素の生理生化学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 13740456
研究機関名古屋大学

研究代表者

藤田 祐一  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (80222264)

キーワードクロロフィル合成 / 光非依存性プロトクロロフィリド還元酵素 / 光依存性プロトクロロフィリド還元酵素 / 光合成細菌 / ラン藻 / ニトロゲナーゼ / 光合成の進化 / 酸素発生型光合成
研究概要

クロロフィル(Chl)は、光合成の光反応に必須の色素である一方、光照射により細胞に重篤な傷害をもたらすラジカルを形成する危険な分子でもあるため、細胞はその合成を厳しく制御していると考えられる。その合成制御機構を明らかにする上で、Chl合成系の各過程の生化学的諸性質を明らかにする必要がある。
藻類や裸子植物の暗所での緑化を決定づけている光非依存性プロトクロロフィリド(Pchlide)還元酵素(DPOR)は、その推定構造遺伝子の相同性から、ニトロゲナーゼと類似した酵素であると推定されてきたが、その酵素的実体は不明であった。筆者は、光合成細菌Rhodobacter capsulatusを材料とし、DPORのBchLコンポーネントとBchNBコンポーネントの大量発現系を構築した。両発現系の細胞粗抽出液を混合することにより安定なアッセイ系を確立し、DPORのPchlideに対するKm値を10.6μMと決定した。
植物と同様の酸素発生型光合成を行うラン藻は、上記のDPORに加え光依存性Pchlide還元酵素(LPOR)を有する。これら二つの酵素系の環境の酸素濃度に対する機能分業を検討するために、二つの酵素系の片方を欠損した一対の変異株を、強光下で種々の酸素濃度の環境下で培養し、その生育とChl含量を測定した。その結果、DPOR欠損株は、いずれの酸素濃度下でも野生株と同様に生育した。これに対し、LPOR欠損株は、酸素濃度0%の嫌気状態では野生株の62%程度の生育速度で生育できたが、酸素濃度の上昇に伴い生育が低下し、酸素濃度5%以上では全く生育できなかった。このことは、ラン藻の進化の初期に、自身の発生する酸素による大気中の酸素分圧の上昇の結果、酸素感受性のDPOR単独ではChl合成が滞る局面が生じ、新たにLPORがDPORの機能を補填するために創出されたことを示唆している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kada, S. 他4名: "Arrest of chlorophyll synthesis and differential decrease of photosystems I and II in a cyanobacterial mutant lacking light-independent protochlorophyllide reductase"Plant Molecular Biology. 51巻・2号. 225-235 (2003)

  • [文献書誌] Fujita, Y. 他1名: "The light-independent protochlorophyllide reductase : A nitrogenase-like enzyme catalyzing a key reaction for greening in the dark. In Porphyrin Handbook, Edited by Kadish, K. M., Smith, K. M., Guillard, R., vol. 13"Academic Press. 48(109-156) (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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