昨年度までに研究代表者らは、アマゴとティラピアから硬骨魚類で初めて糖タンパク質ホルモン受容体遺伝子をクローニングし、これらがそれぞれFSH(Follicular stimulating hormone)受容体、LH(Luteinizing hormone)受容体、TSH(Thyrotropin)受容体であることを示した。本年度は、In situ hybridizationの結果から、これらの遺伝子発現が、卵巣と精巣における体細胞中に時期特異的に発現することが明かとなった。 また、ティラピア卵巣において、この受容体のうちのひとつの発現パターンとステロイド合成酵素20β-HSDに相関が見られた。すなわち、ティラピアFSH受容体は20β-HSDと同様に卵の発達初期に強く発現し、卵成熟期までに発現が消失する。また、糖タンパク質ホルモンの一種であるhCGをティラピアに投与したところ、この20β-HSDの発現消失が見られたことからも、糖タンパク質ホルモンとステロイド合成との関わりが遺伝子発現レベルでも示唆された。
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