研究概要 |
平成14年3月15日現在、日本各地29箇所の自己採集および分譲を受け、緑藻ミル属19種88株の単藻培養株を確立した。これらの株から全DNAをDneasy Mini Kitにて抽出し、葉緑体にコードされているribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxgenase(rbcL)遺伝子の塩基配列(約1300bp)を決定した。分子系統樹構築ソフトPAUP4.0b10を用い系統樹を構築した。その結果、日本産ミル属は19個のクレードにわかれた。最も初期にタマミル(Codium minus)が分岐した。ついで2つの大きなクレードが認識できた。1つはsubgenus Tylecodium-complexでコブシミル(Codium spongiosum)及び匍匐生ミル4種からなる。もう1つはsubgenus Schizocodium-complexでミル(Codium fragile)、ナガミル(Codium cylindricum)、クロミル(Codium subtubulosum)等14種からなる。多くはsubgenus毎に分かれたが、例外的に匍匐生ミル1種がsubgenus Schizocodium-complexに含まれた。全体で未記載種が4種確認できた。ヒラミル(Codium latum)と単系統になる株はヒラミルより藻体が薄く配偶子嚢が大きい。これは元北海道大学教授山田幸夫博士のHerbarium name Codium pseudolatumに相当し新種記載の必要がある。ミル(Codium fragile)と小嚢が尖るか尖らないかの違いで区別された元California大教授P.C.Silva博士のHerbarium name Codium inermeに相当する藻体はミルと遺伝子配列が一致した。
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