1.DNA解析のためのサンプルの収集 一年目の重点課題であったDNA解析用のサンプルの収集に関しては、博物館、動物園、環境試験場、鳥類・哺乳類研究者等の協力も得て、50種を越えるシラミのサンプルを収集できた。これらのサンプルと、GeneBank等に登録されているデータを加えることで、シラミ目の主な大分類群はカバーすることが出来る。 2.DNA解析 上記の標本と、本研究解析以前からDNA解析用のサンプルとして蓄積していたチャタテムシ目昆虫、および外群となる半翅目、脈翅目昆虫、合計約150サンプルからDNAを抽出した。ミトコンドリアゲノムの12Sおよび16S ribosomal DNA領域に関しては、すでにPCR法を用いた増幅およびシーケンスを開始し、良好な結果を得ている。現段階での系統解析からは、シラミがコナチャタテ科の姉妹群であることを強く支持する結果が得られている。現在、核DNA上の領域を探索中である。 3.シラミの分類学的検討 DNA解析用に収集したサンプルの分類学的検討も進めている。これらの中には、未記載種や日本未記録種が含まれていることも確認した。また、1900年代前半に、日本および周辺地域のハジラミ類の分類学的研究を精力的に行った、内田清之助のコレクションの全てを、九州大学農学部から借用し、現在、その整理・データベース化・分類学的再検討も進めている。
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