1.トウダイグサ亜科の種子と胚珠の解剖学とその分類学的意義についてまとめた。その結果、トウダイグサ亜科は全てパキカラザがない、内種皮外層が柵状になる。内珠皮に維管束がない点で非常に均質なまとまりを作っていることが明らかになった。しかし、内珠皮の厚さ、外種皮の厚さと、外珠皮の維管束の有無、仮種衣の有無で亜科内に変異が見られた。この特徴からトウダイグサ亜科内の分類システムについての考察を行った。この結果をまとめ日本植物学会誌に投稿、受理された(J. Plant Res. 2002 inpress)。 2.エノキグサ亜科の種子と胚珠の解剖学とその分類学的意義についてまとめたその結果、エノキグサ亜科には内珠皮及び外珠皮の厚さ、外珠皮の維管束の有無・仮種衣の有無に変異が見られた。この特徴からエノキグサ亜科内の分類システムについての考察を行った。この結果をまとめBot. J. Linn. Socに投稿した(投稿中)。 3.キントラノオ目に分類される17科54属の葉緑体 rbcL遺伝子(1329bp)、atpB遺伝子(1448bp)、及び18SrDNA<1702bp)の塩基配列を解析し、系統解析を行った。その結果、16の最節約系統樹が得られ、その厳密合意樹では広義トウダイグサ科は単系統群とはならないことが分かった。広義トウダイグサ科は少なくとも4つの単系統群((1)トウダイグサ亜科+エノキグサ亜科+ハズ亜科、(2)コミカンソウ亜科、(3)オールドフィールディア亜科、(4)エノキグサ亜科ガレアリア連)に分解することが分かった。これらの結果を日本植物学会(於東京大学)および日本植物分類学会(於国立科学博物館)において報告した。
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