研究概要 |
本研究では,製品インタフェースの材質感を変化させることにより,直感的かつ具体的に情報を伝達することが可能か否かを明らかにすることを目的とした。そこで,指先および足部からの情報伝達の例として,製品の押しボタン型操作用スイッチ(以下操作スイッチ)と視覚障害者用誘導ブロックを取り上げ,視覚障害者と晴眼者を対象とした官能評価実験を行った。想定した操作スイッチの大きさは20mm角で半径の異なる凸型および凹型球面形状,密度の異なる点および線状形状および平面形状とした。サンプルは[金属・プラスチック・木材・発泡材]の四種類の材質で制作した。実験では,これらの操作スイッチによって対立概念型操作(ON-OFF),段階的調整型操作(強・中・弱),連続的調節型操作(音量・温度の高低)の三つの操作情報が伝達可能か否かについて検討した。一方,視覚障害者用誘導ブロックを想定した場合は,視覚障害者用の誘導および警告ブロックをそれぞれ[金属・プラスチック・木材・ゴム]により制作し,コンクリート製ブロックと比較した場合の認識しやすさとふさわしさについて検討を行った。得られた結果を双対尺度法および数量化理論を用いて定量化したところ,形状のみでも十分,ON-OFF,強-弱,音量および温度の高低などの情報を伝達できることが確認できた。さらに,材質の変化が情報伝達に大きな影響を及ぼす場合は,対立概念操作型や段階的調節型操作ではなく,連続的調節型操作であることが明らかとなった。一方,視覚障害者用誘導ブロックを想定した場合では,ゴムや木材といったブロックは認識しやすいものの,警告を伝達するブロックとしては不適当であること,現状のブロックより認識しやすく,ふさわしい材質はプラスチックであることが示唆された。
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