晴眼者と視覚障害者の両者を対象として視覚障害者用誘導ブロックのパターンと材質を変化させることで、触覚および聴覚を通じた認知による直感的な伝達が可能か否かを明らかにすることを試みた。まず視覚障害者を対象としたアンケート調査によって、視覚障害者が7種類の情報「危険・目的地・男・女・方向・昇・降」伝達を求めていることが判明した。そこで、従来から使用されているコンクリート製の警告・誘導ブロックとプラスチック、ゴム、金属、木材でそれぞれ作成した両ブロックとをそれぞれ比較する被験者実験を行った。被験者は晴眼者9名、視覚障害者11名である。被験者は既存ブロックと比較した際の各ブロックの「わかりやすさ」、ならびに警告・誘導ブロックとしての「ふさわしさ」について評価を行った。次に6種類の異なる突起形状を有するコンクリートブロックを用いて、形状と求められる情報との関係について検討した。最後に伝達したい各情報に最もふさわしいとされた突起形状に対して4種類の異なる材質を組み合わせ、各情報に対する「ふさわしさ」の検証実験を行った。その結果、材質の硬さ感がその「わかりやすさ」および「ふさわしさ」に大きな影響を及ぼしていることが確認できた。そして「目的地」には点状突起を有したゴム製ブロックが、「男女」の「男」を表すブロックには球状突起を有した金属製のものが、「女」を表すそれには点状突起を有するゴム製のものが、そして「危険」を示すブロックは点状突起を有する金属製のものがふさわしいことが明らかになった。しかしながら、「昇降」を表すブロックでは、晴眼者・視覚障害者の間にふさわしいとする材質に違いがみられた。以上の結果から、材質と形状を組み合わせることによって、警告や誘導以外の情報をも伝達可能であることが示唆された。
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