光機能素子の高性能化、小型化の要素技術として光誘起現象の大きなガラス材料の探索と評価を行ないました。 (1)銀イオン伝導性カルコゲナイドガラスのレーザー微細加工による銀濃度制御 Agをドープしたカルコゲナイドガラスは光照射によってAg^+イオンが光照射領域に移動することが分かっています。この現象は非常に大きな構造変化が生じていると理解でき、従来の材料と比べて大きな光学的異方性が誘起される可能性がありました。そこで、Ag濃度の異なる試料について詳しく調べた結果、Ag_<25>As_<25>S_<50>組成のガラスにおいて異方性発現が顕著であることを見出しました。複屈折の絶対値は0.01にまで達し、母体のカルコゲナイドガラスに比べ、一桁の増大に対応します。さらに偏光による異方性の発現には非常に奇妙な表面変形(猫ひげ状のパターン)が伴っていることを付きとめました。今後は大きな異方性と特徴的な表面変形の発現を理解するために、局所的な組成分析や形状分析などの実験を行なう予定です。 (2)カルコゲナイド含有ハイブリッド酸化物ガラス 共スパッタ法により、ナノメートルサイズのカルコゲナイドガラスを酸化物ガラス中に分散させた構造(ハイブリッドガラス)の作製を試みました。分光透過率の測定結果より、母体である酸化物ガラス中にカルコゲナイドガラスが分散している構造が想像されます。構造柔軟なカルコゲナイドガラスが3次元的に閉じ込められ、光誘起現象の増大が期待できます。
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