超短パルス光と光ファイバを用いた非古典的光の生成に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13750044
• 研究種目: 奨励研究(A)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 西澤 典彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (30273288)
• キーワード: スクイズド光 / 量子光学 / 超短パルス光 / 量子雑音 / 光ファイバ / 非線形光学効果

研究概要

1. 非対称型非線形偏光干渉計を用いた光子数スクイズド光の生成
小型な超短パルスファイバレーザーと偏波保持ファイバによって構成される非線形偏光干渉計を用いて、光子数スクイズド光の生成実験を試みた。非線形偏光干渉計を用いると、光ファイバを通すだけでスクイズド光を生成することができる。今回は、融着接続器を用いて偏波保持ファイバを直交して接続し、非線形偏光干渉計を構成した。実験では、光源の強度揺らぎをショット雑音レベルにまで抑圧することができた。又、数値解析の結果から、最大で13dBの光子数スクイズド光を生成できることが分かった。実験的にショット雑音レベル以下のスクイジングを得るためには、過剰雑音の抑制などの光源の制御が必要になると考えられる。
2. 対称型非線形偏光干渉計を用いたスクイズド状態の真空場の生成
非線形偏光干渉計の分岐比を1 : 1の対称型にすると、スクイズド状態の真空場を生成することができる。上記の光子数スクイズド光の生成においては、光源の過剰雑音が問題となったが、スクイズド状態の真空場の生成においては、検出系において光源の過剰雑音の影響を除去することができる。実験は、上記と同様、小型な超短パルスファイバレーザーと偏波保持ファイバによって構成される非線形偏光干渉計を用い、スクイズド状態の真空場用の検出系を用いて行った。その結果、約-1.7dBのショット雑音レベルからの雑音の低減を安定に観測することができた。又、量子効率を考慮し構成した結果、約-2.7dBのスクイズド光が生成されていることが見積もられた。現在、光源から出力されるパルス光を整形し、理想的な励起光を用いることでスクイジング量の向上を図っているところである。

研究成果

• [文献書誌] J.Higuchi, N.Nishizawa et al.: "Nonlinear polarization interferometer for photon-number squeezed light generation"Japan Journal of Applied Physics. Vol.40,No.11B. L1220-L1222 (2001)
• [文献書誌] N.Nishizawa et al.: "Squeezed vacuum generation using symmetric nonlinear polarization interferometer"Japan Journal of Applied Physics. Vol.41,No.2A. L130-L132 (2002)
• [文献書誌] J.Higuchi, N.Nishizawa et al.: "Analysis of photon-number squeezed light generation using nonlinear polarization interferometer"Technical digest of CLEO/Pacific Rim 2001. Vol.2. 424-425 (2001)
• [文献書誌] N.Nishizawa, T.Goto: "Widely wavelength tunable ultrashort pulse generation using polarization maintaining optical fibcrs"IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics. Vol.7. 518-524 (2001)
• [文献書誌] N.Nishizawa, T.Goto: "Pulse trapping by ultrasbort soliton pulses in optical fibers across zero-dispersion wavelength"Optics Letters. Vol.27. 152-154 (2002)
• [文献書誌] N.Nishizawa, T. Goto: "Trapped pulse generation by femtosecond soliton pulse in birefringent optical fibers"Optics Express. Vol.10. (2002)