研究概要 |
近接場光学顕微鏡(Scanning Near-field Optical Microscopy : SNOM)は近接場光を利用することで光の回折限界を超える高分解能を有する新しい光学顕微鏡である。SNOMは今日,有機分子,半導体、生物と様々な分野で活用されている。また、次世代の光エレクトロニクスデバイスの開発において半導体や導電性高分子といった光機能性材料に関する研究が盛んに行われている。これらの材料開発や薄膜の評価ではナノメートルスケールの局所領域での光と電子の相互作用を解明することは大変重要な課題である。 本研究では光機能性を有する半導体や導電性高分子の光励起電流や電界発光特性を局所的に観察できる新しい近接場光学顕微鏡システム(SNOM)の開発を行った。 平成13年度研究成果 これまでに走査型プローブ顕微鏡(SPM)の研究として装置本体、電子回路及びソフトウェアを開発してきた。本研究ではこれらのSPM技術を利用し、微弱電流が測定可能な新たな近接場光学顕微鏡(SNOM)を開発し、励起光源としての各種レーザと組み合わせることで光機能性を有する半導体や有機薄膜の観察を行った。SNOM探針の製作において光ファイバ探針先端にはITO薄膜等の導電性透明電極を作製することにより近接場光と同時に電流検出を可能にした。また探針形状をAFMのカンチレバ型に製作することでコンタクトモードによる制御を可能にし、試料表面において安定した電流検出や電界印加を可能にした。更に金属探針を用いた電場増強効果による電流検出型SNOMも開発した。これらのシステム構築に関して申請した備品であるロックインアンプにより高精度な測定を実現した。製作したこれらのシステムを用いることで銅フタロシアニンのフォトキャリア分布像やWO_3のエレクトロクロミック現象を表面形状像、近接場光学像に付け加えて光電流分布像を同時取得することで装置のパフォーマンスを確認した。
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