| 研究概要 |
バネブロック系と呼ばれる「バネで連結されたブロックの集合体」を使って地震の発生過程を検討した.これまでのバネブロック系での数値計算はバネを正方格子状に連結した場合に限られていた.本研究では,幾つかの理論的な考察を経て,連結の仕方が不規則な場合(ただしボロノイ分割が可能な場合に限る)のバネブロック系の数値計算の手法を得ることに成功した.一般に岩石はボロノイ多面体に対応して分布している複数の結晶によって構成されている.したがって,本研究で確立された手法によって,岩石を構成している物質の種類や形が不均質な場合にも対応できる地震断層のバネブロック系による数値計算手法が確立されたことになる.更にこの手法を用いて計算を行うプログラムを開発した.はじめに,この手法を2次元系に適用したところ,これまで知られている経験則であるGutenberg-Richter則が得られることがわかった.次に本手法の最大の特徴である不均質性を導入するために,バネ定数に幾つかの種類を持たせ,擬似的な岩石を作成し,この擬似的な岩石において地震の発生過程を計算するプログラムを作成した.その結果は,これまで報告されてきた地震断層がもつ経験的な特徴を数多く満たすことが判明した.また,この手法は更なる一般性を持つことが判明した.たとえば,2次元・3次元系だけではなく,球面上にも適用できることがわかった.これにより,汎地球サイズでのバネブロック系による数値計算の可能性も出てきた.また,本手法を応用することによって,弾性体の基礎方程式以外の方程式の数値計算も行えることも判明した.
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