本研究課題では以下のような研究実績を得た。 1.高温その場観察用SP試験装置の作製 高温、種々の環境中でその場表面割れ感受性試験が行える小型パンチ(SP)試験装置を作製した。 2.1100℃-SPクリープ試験 東大・柴田教授らが大型標準引張試験片によって赤熱脆性感受性を計測した種々の含銅鋼より微小試験片(10×10×0.5mm)を採取し、1100℃で低真空および高真空の環境でSPクリープ試験を行い、クリープ曲線を計測し赤熱脆性感受性に及ぼす酸素ポテンシャルの影響について調査した。 3.Cu粒界侵入深さの定量評価 赤熱脆性感受性がキャラクタライズされている4種類の試料よりブロック試験片を切り出し、1100℃の大気中で酸化試験を行った。試験後の試験片表面とその断面を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により詳細に観察した。加えて、X線マイクロアナライザーを用いた断面観察より、粒界へのCuの平均侵入深さ、最大深さを測定し、脆化感受性等との相関関係を調査した。その結果、Cuの侵入深さが増加するに従い脆化感受性も単調に増加していく傾向が認められた。 本研究課題により、高温その場観察用SP試験装置を作製するとともに、SPクリープ試験法が表面割れ感受性評価手法として有用であるという目処を得た。14年度は、データ蓄積を通してマスターカーブを作成するとともに、顕微ラマン分光器とレーザー顕微鏡を用いた高温その場観察により、割れ発生の微視的メカニズムについて詳細な検討を行う予定である。また、14年度は、本試験法をNi基超合金のSAGBO割れ感受性評価に適用する予定である。
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