研究概要 |
本年度は,広域地下トンネルを例に取り,現場の調査に基づいて,腐食解析用高速多重極境界要素法および不定境界逆解析のプログラムを,作成・評価・改良を繰り返して,開発した。本年度の結果は以下のようにまとめられる。 防食を達成する電極を決定する最適化問題では,繰り返し計算が行なわれる.しかし,問題の非線形性が強い場合,繰り返し回数が多くなり計算時間が莫大になる可能性があるという問題がある.本研究では,非線形性が強い場合の計算時間を短くするために,高速多重極境界要素法の特徴を利用して効率的な最適化手法を開発した.本研究では,繰り返し計算にシンプレックス法を用いている.本最適化問題は,非線形性を持っているため,初期値が最適解と大きく異なると計算時間が非常に多くなる.理想的な防食状態は,与える電流に過不足ない状態で,表面全ての電位および電流密度が,防食電位および電流密度となっている時である.表面全ての電位および電流密度を,防食電位および電流密度とした時,それを実現する電極を設計した.すなわち,本問題を境界積分方程式に理想的な状態の境界条件を二重境界条件として与え,逆に電極の設計変数(電流および電極の位置)を求める逆問題に帰着させた. 境界積分方程式から電極の設計変数を求める時,通常の境界要素法は電極と要素は個々に影響があるため,大規模問題では記憶量および計算量が莫大となる.そこで,高速多重極境界要素法を用いて効率的に計算した.
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