研究概要 |
LSIに代表される微小な構造物は,厚さ1ミクロン以下の薄膜で形成されており異材界面におけるはく離が信頼性の点で重要な問題となっている.高温プロセスに晒される電子デバイスにおいては,界面を構成する異材間の変形のミスマッチに起因してせん断応力が発生する.本研究では,基板上の多層サブミクロン薄膜について界面端部のせん断によるはく離発生機構について検討した.13年度は,せん断負荷試験法の開発に焦点をおき新しい試験法の提案に取り組んだ.得られた成果は以下のように要約できる. 1.せん断はく離強度を評価する為には,界面に圧縮応力をかけつつはく離させることが有効であることを示唆した.そこで,Dye-shear用の冶具を用いて有効な負荷を加えることが可能であるせん断はく離試験法を提案した. 2.上記の試験法を実際にLSIに用いられる薄膜に適用した.提案した試験法は,せん断はく離試験法として有効な手段であることを確認した. 3.応力解析の結果,はく離は界面端部の応力集中により発生していることを示すことができた.はく離の発生した発生界面端部においてはせん断の応力集中が支配的であることが明らかとなった. 4.以上の得られた成果は,界面端部におけるせん断はく離発生条件を破壊力学的に評価することが有効であることを示唆している.そこで,界面はく離発生条件について破壊力学的評価を実施した結果,界面固有の強度特性値として定量的に評価することに成功した.
|